いつまでも




名前のある人が 君をとりこにして


周りの人々が 君の才能を賛美する


スポットライトが君の思考を麻痺させて


人々の視線が 君を後戻りできなくした


もう前奏は始まっている


もうすぐ、歌が放たれる


渦潮のような低音と


泣き声みたいな高音に導かれ


そこに立つ君は 


口を開く


捏造された旋律


失われた言葉


どうして自分の言葉を捨てたの?





どれだけ己を映し込んでも


やっぱり偽りは隠せないよ


君は知っているんだ


ありきたりな嘘を重ねている自分を


共有化された経験に


浮ついた歌詞を並べ


誰もが そこに 行き着いたんだ  って


必死になって説得してる




世界に認められた君は


その意見の多さに疲れ果て


僕らの叫びに耳を塞ぐ


等身大の心を拭い去って


誰もいない海に消えた





青に落ちゆく太陽だけは


何もかもを美しく見せた


そんな歌なんて


誰が歌ったって良かったんだ


どうして偽善者みたいに


笑顔だけを振り撒いていたんだろう


顔の見えない誰かが


今日もまた立ち上がるよ


そして、誰かがまた倒れ行くんだ





小さな部屋  雨の夜


一人涙を流しながら


自分の位置を確かめた


もういいよ、を繰り返しながら


また一歩を踏み出してゆく